こんにちは、おちです。
今回はビジネスの場でも知らず知らずのうちに使っている母集団と標本の考え方についてお話したいと思います。
とある新商品を開発中の太郎さんと花子さんの会話を見てみましょう。
開発中の新商品、本当に売れますかね?
開発している身としては売れて欲しいですけど、どうでしょう?
もし売れなかったら大量の在庫を抱えて赤字になってしまうから、本当にお客様に満足いただける商品か、発売前に改善すべき点はないか調べてもらえませんか?
承知しました。社内の人の評判を聞いてみます。
精度の高い情報が欲しいので、社内外問わず新商品のターゲットである子育て中の共働き女性に絞ってまんべんなく調査をお願いします。
誰彼構わず聞くのはダメなんですね。
会話の中に母集団や標本という言葉は出ていませんが、調査実施に重要な母集団と標本の考え方を太郎さんは抑えています。
実際に母集団と標本の考え方について見ていきましょう。
母集団と標本
母集団は想定している対象全体、標本はその母集団から選ばれた個体ひとつひとつを指します。
先ほどの新商品の調査を例に挙げると以下のイメージです。
今回の新商品のターゲットは子育て中の共働き女性です。彼女たちに刺さる商品かを知りたいので調査します。
あくまで知りたいのは個々の意見ではなく対象者の多く(母集団)に刺さるかどうかです。
全員に聞いて回るのが確実ですが、それには時間もお金もたくさん必要です。
かかる時間とお金を最小限に抑えたい。
そのために編み出されたのが、対象全体(母集団)からいくつか調査対象(標本)をランダムに選び出して対象全体の傾向を推測する方法です。
この方法は論理的・数理的に対象全体の傾向を推測することができる信頼性の高い調査方法です。
そのため、新商品のポテンシャルや既存品の改善点、工場の不良品発生率を推測をするなどビジネスの様々な場面で活用されています。
標本を選ぶときの注意点
対象全体(母集団)の傾向を推測したい場合の調査は、個々の意見を知りたいときの調査と違い、調査対象(標本)の選び方に注意が必要です。
下の図は子育て中の共働き女性全員の傾向を探りたいときの間違った標本の選抜例です。
いかがでしょうか。今回のような場合ですとわかりやすいのですが、以下の2点が不適切です。
- 対象外の方を標本に加えている
- 選んだ標本がある集団に偏っている
子育て中の共働き女性全員の傾向を知りたいのに男性の回答を参考してしまったら誤った推測結果が出てしまいます。
また、母集団の中に入っている方だとしても、同じ会社に所属している方だけに回答が偏ってしまうのも本当の母集団の傾向を見誤る原因になります。
例えば、本当は子育て中の共働き女性に刺さっていたのに、ある会社所属の女性たちは会社が似た商品を無償で支給するため刺さらなかったという結果が出る可能性があります。
サンプル調査はかかる時間とお金を減らしてくれる便利なものですが、扱い方には注意が必要です。
実際に調査をする場合は、自分がそもそもどのような集団の傾向を知りたいのかしっかり抑えて標本の選抜をしたいところです。
最後に
今回はビジネス、調査の場面でよく出会う母集団と標本の考え方について紹介しました。
今回の太郎さんと花子さんの会話のように母集団や標本という統計用語が出ていなくても、考え方自体はビジネスの場にかなり浸透してきている印象です。
それだけデータ活用が求められている証拠かもしれません。
今後もデータに踊らされず、データを乗りこなすための参考になる情報を発信してまいります。
以上です。最後までお付き合いくださりありがとうございました。